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ダークナイト ライジング 観ちゃった
行ってきました。ダークナイト・ライジング in IMAX。
前回のダークナイトが、あらゆる面で最高!だったので、期待値もIMAX!
と言いたいところだが実際はちょっと違って、元々クリストファー・ノーランがダークナイトの次作を撮りたがっていなかったという噂があったこと、また、前回日本だけヒットしなかったことを受けてなのか、今作の日本での妙な過大広告、そしてカールじいさん、さや侍よろしく告知の完成度が高くて本作がイマイチだったりとかということは近年大いにあり得ることなので、期待度80%、不安度20%くらいで観に行ってまいりました。
で、観終わった後の率直な感想としては、
「かっこいい!3時間全然観れる!でも、あれ?これで終わっていいの?」
だった。
映画館出たあとモヤモヤしたので、知り合いと話するとか、ネットで批評などを見てみたくなったけど、そこをぐっとこらえて、まずは自分の感想をまとめておきたいと思い、キーを打っている次第です。(観てから結構時間が経ってしまったので、ストーリーがちょっとうろ覚えなとこもあります)
今作は最強の悪、ベイン vs バットマンという図式で、オープニングの飛行機のシーンからトム・ハーディの存在感がハンパ無くて、ノーラン演出のクールさ、演技うまい役者陣、一時間のど迫力IMAX映像、普通CGを使うところで実写を使うという心意気、などなど終始圧巻といった感じだった。
しかし、肝心のストーリーが、、、
骨格が大きくぶれているように思えてならなかった。
/* ここからネタバレになります */
最強の男、ベインは前回の悪、ジョーカーと必然的に重ねて見てしまうのだけど、無差別に破壊行為をして悪を解放する、もしくは解放させようとするジョーカーに対し、ベインは証券取引所をジャックしたり、囚人を解放したり(ここはジョーカーと一緒)、一般民衆に「これでいいのか!立ち上がれ!(うろ覚え)」と呼びかけたりと、明らかに権力に対して反撥の意志があり、革命を起こさせるためのリーダー的存在、下手すりゃ救世主とも捉えることができる。ジョーカーとは似てるようでちょっと質感が違うように思えた。
これは映画評論家の町山智浩氏が「ダークナイトライジング観る前の予備知識」としてラジオで解説していたので我慢できずに聞いてしまったのだが、アメリカでは1%の超金持ちと99%の貧乏人に分かれていてその収入の格差は日本とは比べものにはならず、リーマンショック以降の金融破綻により、アメリカ人の多くは不満が爆発していて、実際抗議運動も起きているのは周知のところ。映画を見る人によって、特にアメリカ人の多くの"弱者"にとってはベインの方に肩入れしてしまい、金持ちの御曹司で、単に趣味で正義の味方バットマンやってるウェインが"敵"ということになりかねないということだ。
まさに終盤では警官と民衆(権力側 vs 革命側)がストリートでにらみ合って緊張感もIMAX!
これをどう決着付けるんだろう?と期待と心配が入り交じりながらもすごくワクワクして見ていた。
しかし、ラストでベイン側が奪った核をゴードンとバットマンが奪い返して海まで運び、間一髪で爆発。
ゴッサムシティの民衆は「やったー!ありがとうバットマン!」ってな感じでかっこよさげにあっさりと終わってしまった。
うーん、なんか物足りない。。
ベイン側の目的がいったい何だったのか、また一般市民はバットマン派かベイン派か、もしくはどちらも混在しているのか、というのがよく見えてこなかった。
結局ベインはジョーカーと同じく、単に無差別な破壊行為をしたかっただけなのだろうか。
警官 vs 民衆と書いてみたものの、思い返してみるとこの革命側に市民が加わっていたのかどうかもあいまいでよく分からない。
単にゴッサムシティを一度無の状態にしたいのであれば、わざわざアメフト会場の破壊という大演出をプロパガンダに利用する必要はない。こっそり核爆発させればよいだけだから。
さらにはベインの行動の動機が単に好きな女のためだったというのもちょっと拍子抜けしてしまった。
であればそのベインが愛する女性、ミランダの目的はなんだろう?
これもよく分からない。
親父がヘンリー・デュカード(亡霊として現れる)で、ミランダはその意志を継いでいるとするならばヘンリーの目的は?
ヘンリーはウェインをバットマンに導いた男であるが、ビギンズでは単なる影の軍団という位置づけなので、彼らがゴッサムシティを破壊する名目は無いし、ジョーカーのように全ての悪を解き放て!という位置づけのキャラクターでもない。
ん〜、やっぱりよく分からない。
もちろん、劇中で色々説明してしまうのは野暮なことだし、むしろ見ている側の想像力を刺激する方がよい作品ではあると思う。しかしそういった作品の場合、皆まで言わないが監督や脚本家の中ではしっかりした意図があった上で、それを感じさせるメタファーをちりばめるというような表現であればよいと思うのだが、今作においてはそのような強い意図がちゃんとあったのかどうかさえも疑問に思ってしまったし、もしかしたら映画会社の検閲が入って、もっとバットマンをヒーローっぽく、そしてベインを悪い奴にしなさい。これではアメリカ人(金持ち側)を否定することになってしまう。ということで表現を覆い隠しすぎてかなりはっきりしない内容になってしまったのではないかとさえ思ってしまった。
映画ではこのお上の一言でエンディングすら真逆になってしまうこともあるし、前作ダークナイトが世界中でヒットしてしまっただけに、作品をコントロールしようとする圧力がかかってもおかしくない。
しかし万が一そうであったとしても、そこをうまくかわしながらも、しっかりした意図を雰囲気として伝えきれていなかったのは残念だ。
また、細かい部分だけど、バットマンが最初のベインとの対決で負けて、誰も脱出できない刑務所に入れられてしまうというくだりは、「なんか、がんばって鍛えたら脱出できた!」「修行したらカリン塔登れた!」って感じの子供っぽい単純な演出だったので、リアリズムが売りのノーランとしてはちょっとお粗末な感じがした。
ということで、バットマンライジング、良かったんだけど期待が大きかった分、不完全燃焼でした。
ノーラン節とは
元々ノーラン兄弟が脚本に入れ込むトリックやアイデアは好きなのだけど、ノーラン作品最大の特徴は、ちょっとSF的であったり現実離れしたような話であるにも関わらず、まるで日常で起こっているかのようなリアルな演出。にあると思う。
そしてそれを実現するためにクリスチャン・ベールをはじめ、超演技うまい役者をズラッと揃えているわけです。
しかしメメントやインセプションのように演出に巧妙なトリックを使い過ぎてしまう、もしくは複雑なタイムラインにしてしまうと、その分オチに過大な期待がかかってしまい、よっぽどスゲーって思うようなものじゃないと納得できなくなってしまう。
今までのノーラン映画の中で、例えばフォローイングは自主に近い作品で、あまり凝ったことができなかったのもあってなのか、ちょうどいいあんばいだったし、プレステージは、ほどよくひねりが入って、SF的でもあり、オチも個人的には好きでした(若干シャマランくささはあるけど)。ヒュージャックマンの新たな才能を引き出したところも素晴らしい。
そして言わずもがな前作ダークナイト。
こちらは元々アメコミの漫画があるので、漫画にある程度沿わなくてはいけないという制限があるうえ、ヒーローのバットマンvs無差別破壊者であり、バットマンの悪の部分をいやらしくつついてくるジョーカーとの対決、というシンプルな構成。そして徹底的にリアリズムを追求したノーラン演出とそれに答えるべく役者の超絶演技が炸裂して大傑作になった。
やはりこの作品でバットマンをやりきってしまった感はある。
ビギンズも素晴らしいのだが、あくまでダークナイトへの序章に過ぎず、ピークはジョーカーのダークナイトへ持っていっている。
これ以上のバットマンはいくら天才ノーランといえどもちょっと難しい。自分越えなわけだけど。
ヒース・レジャー以上の演技を俳優に求めるのも無理だ。
だからこそ映画会社のリクエストを拒否をし、そして拒否しきれずにバットマンを終焉に向かわせたのではないかとさえ思えてしまう。
あくまで勝手な妄想ですけど。
ということでクリストファー・ノーラン、演出や技術は最高なのだが、やはりオチが難しくなっちゃうような作りになりがちなので、どうせならオチなしでもいいんじゃないかとさえ思っちゃいました。
やっぱり猿の惑星みたいに誰もがスゲーって思うようなオチって、そうそう出せるもんじゃないですからね〜。
とはいえ、今や音楽も含めてノーラン演出パクリまくってる映画だらけだし、CGでしか進化させようのなかったハリウッド映画を新たな方向に導いた若手監督であることは間違いなので、今後も注目していきたいと思います!
よし、これで気兼ねなく飲みながらライジング話できる。
それと楽しみにしてた「町山智浩のアメリカ映画特電」聞けるぜ〜!
(約1年ぶりに更新『ダークナイト・ライジング前編・後編』)
あ、ひとつ言い忘れました。
アン・ハサウェイ、めちゃめちゃセクシーでかっこいいです!
それだけでも1,800円払う価値あり!
12.08.30.PM04:07
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2016.12.06 | post by William