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おおかみこどもの雨と雪 観ちゃった

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細田守監督の最新作「おおかみこどもの雨と雪」
前作のサマーウォーズがすごく良かったので、期待度IMAX！で観に行ってまいりました。
（もうこれいいかw IMAXシアターではありません）

いや、すごいよかったです。
観ている間は、自分の今の状況とも重なってしまい、終始涙腺緩みっぱなしでした。
多分、大学生〜40代くらいまでは自分と重ね合わせて観ざるを得ない感じだと思います。
特に女子は。

劇中登場する父親（おおかみ）は、「時かけ」の男子もそうだったんだけど、あんなかっこつけた感じのすかし野郎は男目線ではちょっと嫌悪感を覚えます。
しかしながら、これは「時かけ」と同じく、完全に女目線の妄想イケメン男子なのでOKだと思います。
幻です。冬ソナです。花より団子です。見たことないけど。

父親は冒頭でさっさとあれですし、最後まで名前も表記されませんので、さほど重要な位置にないのだと思います。単なる子種です。

この話の中心は、すぐに母と子にしぼられていきます。女性目線、母親目線の映画です。
テーマは母と子の成長、選択、共生、自立、許容だと感じました。

これは特に震災以降の大事なテーマですし、大人であれば無視してはいけない、しかし難しくもあり大きなテーマです。
日本人の苦手な、答えのないところに自分で選択し、答えを出していくというものです。

とはいえ細田監督は、こういった大きなテーマを扱いながらも、こうするのが人として正しいんだ！と押しつけてる感じがしないところに好感が持てます。
あくまで観客に考えさせる作りになっています。

それから細田監督の、ちゃんと"今の日本"を見せる表現好きです。
団地、アパート、用水路、田舎暮らしの現実。
北野武「菊次郎の夏」でグレーな中都市（足立区？）を少し上空から撮影しているカットを思い出しました。
すごくリアルに感じます。俺たちの日常はここなんだよなーって、汚い中途半端な都会の風景にノスタルジックな気持ちになってしまいます。

サマーウォーズの時には、居間にちゃぶ台があってそこに複数人座っているカットを、バックに外の自然風景が抜けるようにちゃんとワイドに捉えるところなどは、日本建築の仕様をしっかりと伝えたいという意図が感じられました。
小津安二郎的ローポジです。

劇場の雰囲気

劇場では、子連れもたくさんいて、僕の両側にも2才くらいと3才くらいの子がいました。
片方の子は終始じっと真剣に見てました。
もう片方の子はバツが悪そうにお母さんにくっついてましたw。

上映中、会場で泣いたのは赤ちゃん一人だけで、みんな真剣に見ているような空気でした。しかしギャグの部分ではちゃんとウケたり、突っ込みすら入れる感じだったので、おそらく飽きている感じではなかったと思います。これすごい！

ハナちゃん像

主人公のハナちゃんは、一見女神のようにできた女性に見えますが、
よくよく思い返せばかなり変な子です。

大学に通っている時、友達とコミニュケーションをとっている場面が無かったです。多分。
さらには、おおかみのこどもを身ごもった時や、自分のライフスタイルを変えようとした時、誰にも相談しないのです。すべて一人で判断し、行動していきます。
子どもがおおかみのハーフだからばれたくないのだとは思うのですが、自分の身内が思い出話でしか出てこないのはちょっと不自然です。

ただ、それは孤独で寂しい感じはなくて、ハナちゃん自身は特に気にせずに生活しているような印象でした。おそらく小さい頃から一人遊びが得意な子だったのだと思います。

一般人が普通に考える価値観がハナちゃんにはないので、おおかみおとこにも全く気後れが無く付き合うこともできるし、子供も作っちゃったし、大変な田舎暮らしも受けいられてしまうし、そしてラストの"あれ"も許容することができたのだと思います。
本当に変わった子です。

ただしそんなハナちゃんも後半、"自然"と"田舎の人たち"との共生に身を置いていきます。 「そんなにうまいこといくかよ」と思う人もいるかもしれませんが、ハナちゃんの成長をみせるには必要なプロットだと思います。

作品を観終わって

細田監督は手塚治虫や宮崎駿の後継者になりつつあると個人的には感じました。
ストレートボールちゃんと投げれる監督です。
そういう監督がいないと、カーブやフォーク、たまにボーク（笑）を投げる人たちが生きてこないので、最も重要で過酷なポジションだと思います。日本の宝です。

細田監督、過去に色々あったみたいだけど（ジブリがらみとか）、本当に大成しつつあってよかったです。

というわけで、「おおかみこどもの雨と雪」
すごくお薦めでございます！！

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12.09.01.AM11:35